言葉にできない。

「千鳥ちゃん」


何故かギュッと抱きしめられた。

うん、いいな、この腕の中。
居心地がいいの。


「千鳥」

急に名前で呼ばれて。
ハッと現実に返る。

「ご、ごめんなさい、あたし」

そこにいるのは間違いなく男で。
10年前から知ってる人で。
どん底のわたしを救ってくれた人。


「帰りますっ!」

身体を離し駆け出そうとするわたしを東條さんは力強く引き止めた。

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