ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…なんだかこのライオン、青井くんに似てるね」
「そう?」
「うん」
ガラス細工のように繊細で、本当は強くて、キラキラと光っている。その小さなライオンと彼を重ねて笑う私に、青井くんは体を屈め顔を近づけた。
そして、そっと触れる唇。薄く冷たい彼の感触。
「…好きだよ、美紅」
『美紅』、その名前は耳の奥に甘く響く。
「あれ?なんで名前…」
「彼方に言われた。『なんでみくちゃー、はらさんなの』って」
「彼方…!」
青井くんにも言ってたんだ…!
私に尋ねていたのと同じように何気なく問う彼方の姿が想像つく。
「今まで『原さん』って呼び方が当たり前だったから気付かなかったけど…そうだよな。恋人同士が苗字呼びも、なんかよそよそしい」
「い…いいの?」
「悪い理由ある?」
「ないけど…」
「ならいいでしょ、美紅」
どうして、だろう。みんな同じように呼ぶ自分の名前。だけど彼の呼ぶ『美紅』の響きは、心をくすぐったくさせて、嬉しい。
やっぱり彼は、特別なんだ。
「…うん、友樹くん」
夜道に伸びる二人の影は、今日もでこぼこ。いくら背伸びをしても、届きやしない。
だけど手と手をつないで、恋人としての毎日をひとつひとつ過ごしていこう。
彼と私の心の距離は、すぐ隣にあるから。
end.


