愛を知らないあなたに

身の上話

あたしは、今まで横になっていた体を起こし、琥珀様とタマを交互に見つめた。



琥珀様は、ただ真っ直ぐに、射るようにあたしを見つめ返し。

タマは、見た目にそぐわない、大人びた微笑を浮かべて、あたしを見つめ返した。





あたしはこっそり息を吐き、吸い込んだ。



そして、話すべく口を開いた―――





どこから話すかというと、そもそもの初めからだ。


あたしは、全てを話す。










◆◆◆





あたしは、母親も父親も知りません。


物心付いたときから、あたしの傍にはいなかったのです。



代わりに、あたしの傍には浅葱さんという、1人の若い女の人がいました。




その女の人は、あたしに、自分は母親ではなく、母親の親友なのだと言いました。


そして、あたしに、こう言ってくれました。


『あなたは愛されて生まれてきたし、わたしはあなたを愛している』と。





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