愛を知らないあなたに
浅葱さんはあたしに、お母さんとお父さんがどんな人だったか、教えてくれました。



『凜、あなたのお母さんはね、泣き虫なくせに頑固な人だった。

自分がこれと決めたら、絶対譲らない人だった。

でも、人に優しい、温かい人だったよ。


あなたのお父さんはね、偏見とかが大嫌いな人だった。

もの凄く心が広くて、とにかく真っ直ぐだった。

人見知りなくせに、人を引き込ませる魅力があった。』




浅葱さんは懐かしそうに、とても柔らかい声であたしに話してくれたのです。


そして、楽しそうに笑って、こう付け加えました。




『でもね、2人して相手にベタ惚れ。

相手をすごい溺愛してた。』






ふふふと笑った後、浅葱さんは悲しい顔をして、あたしを見ました。





『でもね、2人の恋は、祝福されなかったの。


凜のお父さんは村長の1人息子で・・・

凜のお母さんは雪女の末裔だから。』





――えぇ、そうです。


あたしは雪女の末裔です。



しかし、そんなに特別なものではありません。






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