愛を知らないあなたに
『けど、雪女の血は随分薄れているわ。

凜のお母さんのお祖母ちゃんのお祖母ちゃんが雪女。


だけど、代々ずーっと人間との間に子供を産んだの。

しかも、先祖の雪女の力は弱かったみたい。



だから、凜のお母さんも凜も、ほっとんど普通の人間なの。』




浅葱さんはそう言い、実際その通りです。



あたしは確かに雪女の末裔ですが、特別な力などはありません。


人より少し体温が低いだけです。




けれど浅葱さんはどこか悔しそうに続けました。




『けどね、偏見っていうものは、そんなにあっさり消えるものではないの。


村の人々は、凜のお母さんのことを雪女の、汚らわしい末裔だという目で見たわ。


勿論、凜のお父さんはそれに怒ったし、それでも凜のお母さんのことが好きだった。



でも、村の人も、村長も、2人の関係に反対したわ。




だってそうでしょう?



彼らにしたら、村長の1人息子と汚らわしい雪女の末裔。



誰もがありえないって思っていた。



村長の1人息子は、雪女の末裔にたぶらかされたんだと思われていた。』






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