愛を知らないあなたに
むむむ?と、唸り始めたあたしに、琥珀様が再度聞く。


「冗談なのだろう?」


「違いますよ!」



冗談だと決めかかっているような声に、あたしは過剰に反応した。


ぽろっと言ってしまったものだとはいえ、告白は告白だ。

冗談だと一蹴されたくはない。




「もう、この際だからぶちまけることにしますね。


・・・あたし、琥珀様が好きなんです。

それも、恋愛感情としての好きです。


口からぽろっと出ちゃうくらいに、好きなんです。

琥珀様に、惚れてるんです。」



真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに琥珀様を見つめて言葉を紡いだ。

そりゃ、恥ずかしい。


こんな気持ちを言うなんて、恥ずかしくてたまんない。


けど、伝わってほしいから。

伝わらないなんて、そんなの悲しすぎるから。


だから、真っ直ぐに琥珀様を見つめた。

伝われと、視線に力を入れた。






けれど――




「・・・冗談でないなら、俺をからかっているのか?」


琥珀様の唇から放たれた声は、冷え切っていた。




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