愛を知らないあなたに
久しぶりだ―――。



誰かの温もりを感じるなんて、久しぶりだ・・・。








『ほら。おいで、凜。』



優しく微笑む浅葱さんが脳裏に蘇った。




『凜の体はいつも冷たいわね。

でも、大丈夫よ。

いつだって、わたしが温めてあげるから。』





浅葱さんがいなくなって。


あたしの体を温めてくれる人なんていなかった。



あたしの体はいつも冷たかった。




でも、今確かに。


あたしの体は温かくなっている。





そう思うと、なんだか泣きたいような衝動に駆られた。



鬼様、あたし、あたし―――。





あたしは1つ涙を零し、静かに目を閉じた。




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