愛を知らないあなたに
「ごめん、ねぇ・・・!」


ぎゅううっとタマをまた抱きしめる。




あたしは、きっと、いや、絶対。


タマより長くは生きられない。

神様より長く、生きることなんてできない。




「あたし、タマを独りにする・・・!」



唇を噛み締めた。

だって、そうでもしなきゃ泣きそうだ。


一番、一番辛いのは、タマなのに。






『おいで、凜。』


笑う浅葱さんを思い出す。




大切な人が、死ぬのは、どれほど仕方がないことだと分かっていても。


どうしようもないくらい、辛い。







「ふふ。リンはやさしいねぇ。」


タマは、あたしの腕の中で穏やかに微笑む。




「だいじょーぶ。」


柔らかい声で、タマは断言した。




< 262 / 377 >

この作品をシェア

pagetop