愛を知らないあなたに
気付いて、なぜだか胸のうちが温かくなった次の瞬間――





「う、うあああああああああ!!!!!!」



リンが、叫んだ。

咄嗟にリンと距離を置く。



「ど、どうした?」


かなり耳がキィーンとしている。

あぁ、鬼の耳がいいことがこんなところで仇となるとは。




「はぁっはぁっ・・・琥珀様が悪いんですよ・・・・・・。」


「なぜだ?」


「特別だとか大切だとか言うから・・・」


「・・・不快にさせてしまったのか?」
「そんなんじゃありません!!!」



即答。

あまりの勢いに目を瞬いてしまった。




「そうじゃなくて・・・逆です。

あたしはすっごくすっごーく嬉しかったです。

けど。」


けど?

首を傾げれば、リンはどこか拗ねたように唇を尖らせた。




「反則なんですよ・・・。」


――どういうことだ?




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