愛を知らないあなたに
困惑していると、タマが薺を真っ直ぐ見上げて言った。





「薺、諦めちゃだめだよ?」



皇帝に連れられて部屋に入って行く薺が、ふっとタマを見た。


交わる視線。

タマが、ひどく真剣な顔で――命じた。






「諦めるな。皇帝の仮面をぶっ壊せ。

自分の答えを見つけて来い。

薺、あんたならできるはずだから。」



薺は一瞬視線を彷徨わせた後・・・しっかりと、頷いた。

タマの目を見て。






タマは満足そうに笑った。




「よし!じゃあ弥助!そこにいるゴツイ男どもを1人でしゅんさつせよー!」


「え、無理じゃね?つかなんで俺1人?」


「タマたちリンを探すから!てことで琥珀、男どもの反対側にれっつごー!」


「分かった。」


「いやいや琥珀!分かるなよ!手伝えよ!俺1人でとか無理だってー!!!」



俺たちはリンの捜索に戻った。

・・・弥助の喚き声は、聞かなかったことにした。





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