愛を知らないあなたに
「良いことを思いついた。

女天狗。お前の仲間の呪いを解いてやろう。

・・・ただし、代わりにお前にもう一つ呪いをかける。」



皇帝は、笑みを浮かべる。

冷ややかな笑み。





「はっ・・・させるかよ!」


弥助が叫んだ。



「駄目だよ!頷いちゃ駄目だよ薺!」

リョクが必死に声を張り上げる。




「薺。」


俺は、薺に駄目だと視線で伝えた。・・・が。




薺は、小さく首を振った。


ふっと、かすかに笑う。

――全てを諦めたような笑み。







「わかりました、皇帝。

その条件、受け入れましょう・・・。」



薺、駄目だ―――・・・言おうとして、目を見張った。

声が出ない・・・?


もしやとタマを見れば、タマは少しだけニコッと笑った。

なぜ・・・なぜこのような・・・




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