いちごパンツのポートレート

SS僕の恋人は『アンパンマン』


小原家のリビングでソファーに並んで座る恋人たち。

「ハル。レポートの期限大丈夫?」

「うーーーんどうだろう?あぁーお腹すいた……」

いつも『にこにこ笑顔』が魅力のハルが、

近頃いつでも『ひもじそう』な顔をして元気がない。

「舞衣ねえ……」

「・・・」

本人に自覚があるのか不明だけど……

ハル『シスコン』気味だよね?

『ガチャ…』玄関ドアの開く音に続き、

「ただいまぁー誰かいるー?」と言いながらパタパタと近づいてくる足音。

その声を聞きハルはいきなり立ち上がる。

まるでご主人様の声を聞き付けた子犬のように喜び勇んで玄関に向かったのだった。

「ハル居たの?」

「舞衣ねえ……」

「どうしたのハル?」

「お腹すいた……」

そうハルのご主人様『舞衣さん』がご実家へ帰って来たようです。

「あら?佳乃ちゃんも居たんだぁ……お久しぶり」

「こんにちは舞衣さん、お久しぶりです」

そんな会話しながらテーブルの上に大きな包みを2つも置いた舞衣さん

中から出てきた物は……

「うぉーーー俺の大好物ばっかりだ」

ハルの顔が嬉しそうに綻ぶ。

「ハル。直ぐに食べられるのはこれで……」

そう言って重箱サイズのタッパーウェアーのフタを取ると

これでもかというほど容器一杯に中身の詰まった『いなり寿司』

ハルは舞衣さんの話しを聞きながら既に『いなり寿司』を頬張っている。


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