好きな人のお母様に恋心がバレました


ショッピングモールの地下から直通の駅へは思ったよりもずっと早く着いてしまった。
こんなときは都会の荒波に揉まれたこの俊足が憎い。きっと気付かないうちに速く歩いてしまっていたに違いない。



勿体無いことしたなあ、と思いながら
ここまで送ってくれた先輩を見上げた。



「あの、今日はありがとうございました。
結局映画、タダで見れちゃいましたし」



「気にしなくていいよ。
むしろこっちとしては券を消費してくれて有難いし」



そうは言われても何もお礼をしないのは心苦しい。
何かないかな…、と考えて、私は気付く。
あった。ピッタリのお礼。



「あの、クッキー、お好きですか?」



ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

宛先:朝霞早百合
Re:ありがとうございます
----------------------------------------------
今日は素敵なチャンスを下さってありがとうございました!
とてもとても楽しくて、なんだか私には勿体無い時間でした。
しかも、早百合さんとも少しでしたがお会いできて嬉しかったです。
今度お礼させて下さいね。

P.S 週明け、先輩にクッキーを持っていくことになりました。上手く焼けるといいのですが…(笑)



< 47 / 99 >

この作品をシェア

pagetop