好きな人のお母様に恋心がバレました
「へえ、何があったの」
パソコンから視線を剥がし、彼はこちらを向く。
「後輩二人が、すれ違ったり噛み合わなかったり、とにかく甘酸っぱくてだな」
くくくっと笑ってさっきのことを思い出す。
宮戸と朝霞くんのあの微妙な関係は総務の中でも知っている人が多い。
それでも面白がらずにそっとして置いてやってるのは皆上手くいって欲しいと思っているからだ。
ーーいや、面白がってることには面白がっているのだけど。
特に最近、宮戸はとうとう朝霞くんの母親とまで懇意にしているらしい。
お前は一体どこから攻略するつもりなんだと突っ込みたくてたまらないが、ここは先輩として生温かい目で見守ってやろうと思う。
「……すれ違うってことは、もしかして両片思いってやつ?」
いきなり飛んできた知らない単語に首を傾げる。
「なんだそれは」
「両者お互いに片思い中」
「ほう、なかなか良い単語だな」
両片思いと聞かれれば、見てるこっちとしては完全にそうとしか思えない。
宮戸は言わずもがなだが、まさか朝霞くんがあそこまでだとは思わなかったーーというのが正直な感想である。
さっきの飲み会では、クジを引くと席がちょうど朝霞くんの隣で。
ここぞとばかりに先輩特権で日本酒焼酎、とガンガン彼に飲ませまくったのは記憶に新しい。