虹色の流星
「美月はどこに行きたい?」
 繁華街を歩いていると、健がこう聞いてきたんだけど…
 あたし、この繁華街来るの数年ぶりなんだよね…
「健が行きたいところでいいよ!」
 健は困ったような顔をしたけど、すぐにいいところを思いついたみたいで、足早に進んでいった。
 
 着いたのは、ショッピングモール、の隣の映画館。
 何を見ようとしているのかわからなかったけど、健は一人で窓口に向かっていった。
「はい、これ!」
 渡されたのは、どう考えてもあたしが苦手とするホラー映画だった。
 だけど、健はこれがどーしてもみたいみたいで、顔がキラキラしてた。
 怖かったらどうしよー。
 上映される場所に行くと、あたしたち以外誰もいなかった。
 これ、人気なのかな?
 映画館独特の音が鳴り、映画が始まった…
『きゃー』
 女優さんが叫んでるんだけど、何が怖いのか全然わからなかった。
 すると、女の人の後ろから、貞子らしき人影が…
「きゃー!」
 ついに叫んでしまった。
 健は、びっくりしたような顔になり、あたしのほうを見た。
「怖いの?」 
 健に聞かれたけど、健が見たいんだと思って、首を横に振った。
 だけど、またすぐに叫んでしまった…
「きゃー!」
「やっぱり怖いんじゃん!」 
 健は、飽きれたような顔になったけど、一向に出ようとしない…
 どうするんだろうと思っていると、彼の顔が近くなってきた。
 え?と思ってると、リップ音が聞こえた。
 健は、クスッと笑いまた続きを観だした。
 あたしは、彼の行動にハテナが出てきて、映画の内容なんて入ってこなくなった…
< 6 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop