繋いだ手を
眩しすぎる笑顔が、突き刺さるように痛い。痛くて苦しくて……、泣きそう。
泣きそうになるのを抑えてくれたのは、私と同じ総務課の先輩社員の声。拡声器を通して、招集を促す声が響いてくる。
「では、失礼します。また後で」
坂木君は一礼して、軽々とキャリーケースを持ち上げた。
背が高くて華奢な背中が、新入社員の列へと吸い込まれていく。
軽々とキャリーケースを持ち上げてる彼の腕と肩から目が離せない。離したいのに離せなくて、いらいらする。
不覚だけど私は、彼の背中がすっかり消えてしまうまで見送ってしまった。
胸の疼きを全否定しながら。