不条理な恋でも…【完】
居なくなった眞人(まさと)を探すほのかの道のりは、

ただ暗闇を永遠に進むが如くで、出口は全く見えなかった。

1年、2年、3年…

長い時間が流れて、探しても探しても糸口さえ見つからない…

そんな状況で、ほのかはいつしか心身ともに擦り切れてしまって…

俺が出会ったころのただ無邪気な彼女とは徐々に徐々に変わっていった。


3年を超えた頃には、最初の頃のように積極的に探すというよりは、

ただ眞人との思い出を辿るように彼と見た景色を眺めたり、

彼がいた場所を回ることも増えてきた。

一緒に歩いているとき、突然反対の方に走って行ったかと思えば、

男に声をかけて、その男が振り向けば、

自分が勘違いしていることに気が付き、放心状態のままその場に立ち尽くす。


『また違う…』

その心の声を何度も何度も聞いた。

俺は最初の頃から月に一度、眞人を探すときにほのかに付き添った。

時間が過ぎていき、いつしかほのかも諦めるだろうと

たかをくくっていたが、彼女はいつまでたっても諦めることはなかった。

ほのかも諦めが悪いが、俺も悪い。

眞人を探すほのかに付け込んで、一緒にいる時間を作り出した。

その時間を過ごしながら、少しずつ少しずつ

ほのかの心の隙間に入り込んでいった。
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