不条理な恋でも…【完】
確かに…

ほのかとの関係は以前とは違うと実感することもあったが…

いくら心が読めるからといって、全てが見通せるわけじゃない。

彼女の心には暗闇が多すぎた。

どこまでも交わらない想い…


そんなふうにお互い微妙な距離を保ちながら4年が過ぎる。

もうこれ以上はほのかとどうにかなるのは無理なんじゃないかと

諦めはじめたからか、それとも運命だったのか、

ほのかに思いを寄せながら、衝動を治めるために遊び歩くだけの俺に、

初めて気にかかる女ができた。


その後色々あったが、結局ほのかが突然俺のマンションに飛び込んできて

しばらく外に出られなくなった。

俺は勤めていた職場を辞め、人間関係を取捨選択した。


ほのかにとってその時の記憶は今でも忌々しいものだろうが、

俺を頼ってくれたことが不謹慎にも嬉しかった。

そしてその心に芽吹く思いを見た俺は、ほのかを諦めることを…

諦めた。


俺にはほのかしかいない…

縁のあった女に申し訳ない気持ちもあったが、

その女への全ての想いを欠片も残さず吹っ切った。


眞人が失踪宣告を受けても表面上はほのかの態度はかわらなかったが…

心は微妙に変化していた。


ほのかの最悪の時に抱きしめる事を許された俺は、

この力を持っていたからこそ、焦らずに忍耐強く待ち、

甘い褒美は必ず手に入ると信じて疑わなかった。
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