不条理な恋でも…【完】
「わかった。私も行ってきます…」

大希さんの思いやりのある言葉に納得して、ソファーから立ち上がった。

確かに外で食べるのは新鮮で楽しいけど…

でも、今日一日の事を考えると、もうこれ以上人に揉まれたくない。

充分過ぎるぐらい神経は使った。あとはできる事ならゆっくりしたい。


着替えをベッドルームに取りに行ってからバスルームに向かう。

リビングにいた大希さんは床に座ったままリモコンを弄んでいた。


バスルームにつくと、さっき見たバスローブが2枚、

手つかずのまま残されていた。

その横には私が畳んだ服がそのまま残っていた。

私は持ってきた着替えをそれからちょっと離れたところに置き、

彼の服をその横に置き直した。


それからワンピースと下着を脱いで、彼の服の上に重ねる。

視線を上げると、目の前の鏡には30台を超えた裸体が映る。

ガリガリに痩せて、これのどこが女の躰なのかというような惨めな状態。


私は今夜、この恥ずかしい躰をさらけ出せるのだろうか?

躰だけでなく、大希さんに何もかも全て捧げきることができるんだろうか?


私は本当に彼のモノになれるんだろうか…

不安な気持ちはシャワーでは流れてくれなかった。
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