不条理な恋でも…【完】
ふわふわ…(穂香)
私はシャワーを浴びて、ゆっくりとぬるくなった浴槽に入る。

それから脱いだ二人の服を持ってリビングに戻った。

そのまま服を片づけようと思ってベッドルームに向かおうとすると

ソファーに座っていた大希さんが立ち上がってこっちを見るなり

「服はそこに置いたらいいから、こっちにおいで…」

と呼ばれた。

深く考えず、服をそばに置いて私は大希さんの隣に座る。


大希さんは射抜きそうな瞳でこちらを見るので、

どうしたんだろうと思う間もないほどあっという間に

ぎゅっと強く抱き締められた。


大希さんには今までも繰り返し抱きしめられた。

その優しさが胸を通して伝わってきて心地よい気持ちに包まれる。

お腹に何かが当たった…

でも私にはその違和感が何なのかはよくわかっていなかった。

ただ、大希さんの躰の熱が上がっているのは全身で感じていた。


大希さんが私の背中をゆっくりと撫でてくれる。

「ほのか…

今日は本当にありがとう」

顔を上げないままうなずく。

「きょうのほのか、とってもきれいだった。

本当は誰にも見せたくなかった。俺だけのものにして

二人っきりになれるどこか隠してしまいたかった…」


大希さんはこんな私を褒めてくれる。

宝物のように扱ってくれ、心配してくれ、本当に大事にしてくれる…

気恥ずかしくて頬を擦り付けた。
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