不条理な恋でも…【完】
私は人として一度壊れてしまった時、

その降り注ぐような愛を、ただ与え続けてくれた大希さんに気が付き

赦されるならその愛に応えたいと思った。

大希さんの今までたくさんくれた献身的な愛に報いたかった。

それが、「私と恋人になり、結婚して妻となる事」なら、

いつかそうしたいと思うようになっていた。

でもそれが愛なのかはわからない…


眞人の事は、まだ半人前の私なりに確かに愛していた。

出会って瞬間恋に堕ちて、

それが愛に変わるのにそんなに時間はかからなかった。

まっすぐに疑うことのない純粋な愛。


その純粋な愛を拒絶され、砕かれ、粉々にされた私には

もう一度誰かを愛する自信なんてもうなかった。

もちろんそんな私が誰かに愛されるなんて…

思っても見なかった。


「できれば…

俺の愛を信じて、俺の全てを受け入れて欲しい…」


黙って押し倒して、奪ってしまうこともできるのに、

大希さんは私の事をよくわかっているから、

きちんと必要な事は言葉で伝えてくれる…

私の気持ちを優先してくれる…


人生を共にする人がこの人でよかったんだと、

このスタートにそう思える。

人生を終える時にもたぶんそう思える気が…

する。


大希さんを信じたい…

彼と共に生きる人生を少しでも楽しみたい。
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