不条理な恋でも…【完】
幸せな結末(大希)
その夜ほのかと初めて身も心も一つになった時、

あまりの嬉しさに感極まってしまい、涙が溢れて止まらなかった。

目の前の女が愛しいと感じながら、体と心を交えることのできた夜だった。

いい年した男が、結婚して初夜を迎えただけのことのはずなのに、

それでも俺にとってはこの不条理な恋でも、

この愛を貫き通すことができ、思いが通じたという…

幸せな結末にただただ涙した。


ほのかはびっくりしていたが…

それでも俺を抱きしめてくれ、一緒に泣いてくれた。

この優しさに包まれて涙を零しながら、やっぱり待ち続けてよかった…

心底そう思った。

これからはほのかに今まで以上たくさん愛情を注いで、

温かく平凡な家庭を築きたい。

しばらくの間は、ほのかと二人の落ち着いた甘い時間を

ゆっくりと過ごしたいと思った。


新婚生活は仕事を程々にして家庭を大切にした。

夜、家に帰れば食事の用意ができていて、ほのかが迎えてくれる。

ほのかと一緒に眠り、ほのかの隣で目覚め、朝送り出してくれる…

週末一緒にショッピングに行き、庭に花を植え、同じ時間を過ごした。

もちろん夜は彼女の躰を考えながら、それでもお互いの温もりを分け合った。

ほのかの精神状態も落ち着き、二人で微笑みあえる甘い日常が…

続いていると思っていた。

俺はこの上もなく幸せだった。
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