不条理な恋でも…【完】
そう言わせたくなかったから…

言わなかったのに。

もうこれ以上心配をかけたくなかったから…

何とかごまかしていたのに。

やっと二人でそれなりに幸せに暮らしていたから。

大希さんのはにかむ笑顔を見ていると、

辛い気持ちも忘れられる時もあったから…


でも…

結局大希さんには全てわかってしまう…

全てを受け止めてくれて、謝らせてしまう。

私達はしばらくそのまま抱き合っていた。


彼は頭に顎を乗せ、言いにくそうに口を開いた。

「それで…

ほのか自身には何か原因が見つかったのか?」

もう誤魔化せないと思っていた私は、正直に首を横に振った。

「じゃ…」

言葉が続かず、大希さんの身体が固まった。

「じゃあ…

俺のせいかもしれないんだな?」

私は何よりもそれを知られたくなかったのに、

勘のいい大希さんは言い当ててしまう。

あなたのせいとは限らないんだけど、それでもその可能性はぬぐえない。


「じゃ…

俺も一緒にほのかの行く病院に連れて行ってくれ。

俺が原因なら…

俺が原因だったら「もういい。誰のせいでもないし、

私が勝手に焦ったのがわる…」…」


唇を強引に塞がれた。
< 62 / 65 >

この作品をシェア

pagetop