青春を取り戻せ!

ワンス ラスト センテンス


僕は天国にいる。

安息の地にいる。

ワイキキ・ビーチでデッキ・チェアーに寝そべり、強い陽射しを一杯に浴びている。

ハワイに着いた翌々日、僕と優紀は小さな白い教会で二人だけの結婚式をあげた。

そして今はビーチに寝そべり、サンサンと輝く太陽を満喫しながら、一日遅れの日本の新聞を見ている。


―――― 医療機具メーカーや貴金属取扱い業者などから、詐欺の被害にあったという訴えが相次ぎ、警察が捜査に乗り出したところ、手形を発行、不渡りを出した(有)アジア衛材の事務所は既に引き払った後であり、計画倒産をした模様である。

現在、アジア衛材有限会社の出資者の白木猛(39歳)とその妻の未美(37)を重要参考人として取調べ中である。

詐欺にあった会社の商品は、白木猛が取締り役社長をやっている㈱生体科学製薬に梱包のまま発見された。しかし商品の一部であるプラチナが、出荷量の半分しかなかったことに不審を持った警察が調査したところ、残りの半分は目撃者の証言などから、研究所々長である横内賢治が持ち出したことが判明した。

既に、横内の自供は取れ、動機は、暴落した株の補てんに使ったと供述している。横内を業務上横領罪などの罪で送検した。

その後の調査で㈱生体科学製薬の経営は火の車だということがわかった。会社の土地は抵当に入り、年間売上げの1・4倍に当たる42億円の融資を受けていた。

白木は取調べに対して、正当な手段で購入したと言い張っているが、………


その時、新聞が引っ張られた。

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