青春を取り戻せ!
僕はお兄さんの飲んでいるウィスキーにしてくれと言った。
琥珀(こはく)色の液体を傾けながら、聞き上手な白木(彼女の兄)に誘導尋問されるように例の話をしていた。
「なかなか面白い薬かも知れない。板倉さんの言うように、そのイオン交換樹脂が胆汁酸と本当に結合するなら、今まで確実な治療薬のなかった黄疸や胆道閉塞に伴う掻痒の改善薬になるかもしれない」
と、白木は噛み締めるように言った。
「結合するのは本当です。もう実験済みです」
僕は真っ直ぐ目を見て言った。
「こういうことも考えられないかい。胆汁酸は十二指腸に分泌されると90%は再吸収され肝臓に戻り、再び胆嚢(たんのう)に入る。そしてそれを繰り返す。だからコレステロールの低下に結びつくとは?」
と、白木は今度は弾むような声で言った。
「さすがですね。僕も考えてました。まだ実験してませんので、何パーセントの血中コレステロール値の低下になるかわかりませんが、確実に結びつくと思います」
「えっ!?どういうこと?…何でコレステロールが低下するの?」
一緒にウィスキーを飲んでいる未美が大きな声をあげた。
僕が答えた。
「胆汁酸はコレステロールの異化に拠って造られる。つまり胆汁酸がどんどん糞中に排泄されれば、肝臓では血液の中のコレステロールを集め、胆汁酸をどんどん造らなくては成らなくなる。だからコレステロール値が低下するんだよ」
「そうなの? 凄いわね!」