青春を取り戻せ!
そしてお茶をすすりながら株式新聞に隅から隅まで目を通す。
それが済むと、ヘッドホーンをつけて所長室に入ってしまう。

一度所長がいない時にヘッドホーンの正体を調べると、短波の株式放送が流れていた。

所長室には実験道具とコンピューターが引かれており、数年前から治療薬のない膵臓癌の薬を開発中であるということだった。
しかしいつもそのコンピューターの画面に映っているのは株式のチャートだった。

そして彼は10時と3時休みには研究室に入って来て、くだらない質問を浴びせながら我々の仕事の監督をする振りをする。
そしてつまらないダジャレを大声で言い、茶菓子を食べると出て行くのが通例だった。

一度白木社長に、遠回しに横内所長は人件費の無駄使いじゃないですか?と言ったことがあった。

白木は、彼は保健所からの引き抜きで、そこで行なう立入り検査などの時には役に立っているのだよと言った。

…釈然としないものを感じた。

そしてそれとは別に、優秀な研究員をもう一人欲しいと、その時にお願いしてきていた。

その後も所長には閉口した。

社長に研究所の経費が多すぎると怒られたようで、僕を呼び出すと、必要もない機材を買い過ぎだ!と怒鳴った。

それは所長のように何もしなければ買う必要もないだろうと思ったがこれからは良く考慮して買いますと言っておいた。

一度、こういう事があった。

リーン…リーン……… 

僕は受話器を取った。

「はい。生体科学製薬の研究室です」
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