青春を取り戻せ!

しかし、いつまでも現実逃避や不平を言っているわけにはいかなかった。

この情無い会社を立て直し、未美と白木のために、せめて二流と呼べる会社にしなくてはならないという責務に燃えた。

幸い、揃った機材を使い実験に入った。

まずはじめたのは、イオン交換樹脂の性状において、服用に適している物と、胆汁酸の吸着の良い物を同時に探した。

5週間後に満足のいく物が見付かった。

それは陰イオン交換樹脂の分子式(C12H17NCl2)nという物だった。
かなりの高分子なので消化管から吸収されず、副作用も考え憎い。
性状においても、わずかな特異臭と苦味があるだけで服用にさしつかえない。

次にラット、ニワトリ、ウサギにおいて血中コレステロールの低下が見られるかの実験をはじめた。

猫の手も借りたい気分だったので、今まで見ていて仕事らしい仕事はしていない2人の研究員にサブをお願いした。

若い吉田君と落合君はインドメタシン外用液という経皮鎮痛消炎剤の“ゾロ品”の薬価基準収載の業務についていたが、一時休んで手伝ってくれることになった。

そして年齢46歳の横内研究所々長にも頭を下げた。

しかし彼は、私は全体を把握する業務があるので一つの仕事に関わることはできない、ときた。

たった4人しかいない研究所でこうである。

…呆れた。 

ちなみに彼の一日を紹介すると、朝は早かった。 
僕よりいつも先に来ていた。
< 31 / 202 >

この作品をシェア

pagetop