青春を取り戻せ!
彼はすぐ製品化すると言ったが、これから、毒性検査や臨床試験が残っていると答えた。

後1年以内に製品にしてくれと、命令口調で言われたが、僕は厚生省に承認を得て、薬価基準収載するには、急いでも後5年はかかると言った。

そのあと懸濁用剤にしたサンプルを水で溶かし、二人に飲ませた。

彼らは顔をしかめた。

「これでは喜んで飲む人はいないわね」

と、未美が言った。

その後、白木は食品関係の研究員を一人引き抜いてくると、懸濁用剤にしたイオン交換樹脂の味付けをさせた。

そして、黄色透明のパイン味の物が出来上がった。

それはそれで良い事だと思った。何も薬は苦いからいいとは思わなかったからだ。


僕はその間も自分の研究を続けたが、新事実がわかった。

それは動物実験によると、LDLコレステロール(悪い事をするコレステロール)が平均28%減少するのに反して、HDLコレステロール(良い事をするコレステロール)が11%増加することであった。

つまり血管を掃除してくれるコレステロールが増えるので、動脈硬化だけでなく動脈血栓症、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)の改善薬になるのではと思えた。

どういう作用でこういう結果になるかと言うと、また推測の段階だが、肝臓で胆汁酸を合成する時に原料となるコレステロールは主にLDLだと思われる。

そして、LDLが消費されるので、相対的にHDLが増加するのだろうと想像できる。
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