ここにいるよ
―――
――――
―――――

ジリリリッ

翌朝

部屋中、けたたましく目覚まし時計が鳴る


5分ぐらい鳴りぱっなしだったから勢いよく母が階段を駆け登って来た


「こらー!起きなさい!」


勢いよく母がドアを開けると



「あれ?」

「何よ」

私はあっけらかんとして部屋の前の廊下に居た


「び、びっくりした!何でもう起きてるの?」


振り返り母が目を見開いて驚いてた


「何でってこっちがびっくりだよ…」


「珍しく早起きなのね」


「私は昨日までの私じゃないの!」


「……彼氏でも出来た?」


ド、ドキッ

母の一言で胸が高鳴る

図星すぎて内心ヒヤヒヤ

ばれちゃダメなんだ

私の彼はモデルなんだから


ばれて迷惑かけるのは嫌だから必死に冷静を装う


「別にそんな人いませんけど」



「まぁ、いいけど」

「ってかキッチンから焦げる臭いしてますけど」



一階から何かが焦げる臭いがここまで流れて来た


「ギャア〜、フレンチトーストよ!ヤバイ〜」


そう言って母は階段を駆け降りて行った



ばれるかと思った

よかった〜

お母さん、恐るべし!

と、胸を撫で下ろしため息ついてたら



「せっかく、髪巻いたみたいだけど後ろ曲がってるわよ」



母が戻ってきて注意



「う、嘘!本当!?」


慌てて鏡を覗き込む


今までは気にしなかった朝のみだしなみも念入りに


1番大好きな人に

少しでも可愛いと思われるように


周りから似合わないと言われないように


普段から気をつけなきゃ


『彼女』だと自信持てるように……



昨日の事を思い出すと

ほらっ

すぐに顔が熱くなる


忍の声

忍の温もり

忍のキス

全て鮮明に残る

夢じゃない

夢じゃないんだ……

私、ついに………

彼女になったんだ

幸せをかみしめると自然に笑顔がこぼれた
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