ここにいるよ
冷たい視線

6時間目が終わり校舎が賑やかになると忍を捜す女子達を避けながら教室へ戻った



「おい!」

ドキッ!

教室のドアを開けると目の前に一樹が不機嫌に立ってた



「か、一樹…」

後ずさりしながら冷や汗をかいた


「あれから大変だったんだぞ!」


「あ〜!ごめんね…私、もう行かなきゃ!バイバイ!」


「お、おい!待てよ」

一樹の制止も聞かず鞄を持ち教室を走り去った



「あ〜あ」

「里子…」

「バカだね〜!後悔するくらいなら忍に会わせなきゃ良かったのに…」


廊下で立ち尽くしてた一樹に声をかける里子はため息をついてる



「ベ、別に後悔なんかしてねぇよ」


「ふ〜ん」

「別に後悔なんか…」

もう姿が見えない渚を思うと一樹は口唇を噛み締めた


「バカなんだから…」

呆れてまたため息をして里子は教室に入った


「……うるせぇよ」


―――
――――
―――――

「忍〜〜〜」

ブンブン、大きく手を振って裏門で待ってる忍へ駆け寄った


裏門は中々人が通らないからそこで待ち合わせた



「そんなに急いでこなくてもいいのに」


「だ、だって早く会いたかったんだもん」


息を整えながら忍を見上げる



「………」

「忍?」

無表情で黙ってるかと思ったらいきなり、


「アハハハ…もう可愛すぎるよ〜ったく、油断出来ないよ…」



そう笑いながら私の頭を優しく撫でた


「油断?」

「あ〜いいのいいの!こっちの話」


「??」

意味分からなくて頭をかしげた


「仕事が入ってるからその後でもいい?」
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