ここにいるよ
―――
――――
―――――

「何…それ…許せない」

全て話し終えると里子は怒りに満ち溢れ勢いよく立った



「里子?」

戦闘態勢に入る里子に呼びかけても通じない


「もう!許せない!文句言ってくるっ!渚を泣かすなんて許さないんだから〜!」


そう言ってカフェから出ようとする彼女の首ねっこを掴み引き止める一樹


「離して!一樹!止めないで!」


「まぁ、落ち着けって…昨日、一発やっといたから殴るのはやめといてやれよ…文句なら直接言ってやれば?」


「はっ?」

眉間にしわを寄せ怒ってる里子に一樹は冷静にカフェの外側を指差した


その先には、忍が駆け寄ってくる姿が瞳に映った


カフェに入ってきたかと思ったら


「ごめん!待った?」

息を切らしいつもの笑顔で謝り出す忍に私は笑顔で大丈夫だよと返した


今日は、忍とデート
制服デート
昨日のやり直し


自分の仕事が終わるまで私と一緒にいてくれた二人に忍はお礼を言いだそうとすると


「本当…ありが…」

「ありがとうじゃない!」

「え?里子ちゃん!?」

怒りがおさまらない里子はいきなり忍の胸元を掴み説教し始めた


何が起こったのか分からず忍はただ呆然とする



「リョウが1番悪いって分かってるけど、忍も最低だよ!渚を泣かすなんて私は許さない!」



「………」

「私の大事な親友なんだからもう泣かせないって約束しないなら渚は任せられない!」



「………」

「約束出来るの?出来ないの?どっち!!」


迫力負けする私と一樹は息を呑んだ


でも、そんな状況にも動じず彼は話し始める


「分かってる、もう泣かせない…約束します」


笑顔は消え真剣な面持ちで彼は言った



その瞬間、涙が溢れた


里子の優しさに?

一樹の優しさに?

忍の言葉に?

分からないけど心に染みて涙を誘った
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