桃色初恋、甘口キス
「恋の終わりと、始まり、だね?」
翌朝。
愛ちゃんは腫れぼったい目で、いつもより遅く登校してきた。

「目、どうしたの?」

「何かあった?」

「何もないよ、ありがとう」

クラスメイトに声をかけられるたび、愛ちゃんは微笑んでお礼を言う。

昨日よりは平気そう、かな?
て、平気なわけ、ないんだけど……。

「おはよう、うみちゃん。
どうしたの? その目!」

やだな、愛ちゃんのほうが大変なのに、心配されちゃったよ。
隣の黄原は、心配そうにあたしを見つめている。

「おはよ、愛ちゃん!
昨日家の手伝いで大量の玉ねぎ切ってさ、めっちゃ泣いた!」

あたしはおどけて笑った。

「それは泣いちゃうね」

愛ちゃんもくすくす笑った。
< 102 / 115 >

この作品をシェア

pagetop