桃色初恋、甘口キス
チャイムが鳴って、愛ちゃんは自分の席に戻っていった。

「黄原」

「ん?」

「ありがとう」

感謝を伝えたくなったあたしは隣に声をかけた。

昨日のカラオケでの話も、最近のアピールも。
言いたいことを我慢して、ずっと見続けていてくれたことも。

自意識過剰かも知れないけど、あたし、黄原に想われてるんだなって、つくづく実感したよ?
だから、ありがとう。

「え? なに、急に」

黄原は戸惑ったようにそう言って、何か聞きたそうにしていたけど、先生が教室に入ってきて朝のホームルームが始まって、会話は途切れた。
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