桃色初恋、甘口キス
「うみちゃん、勝手にこんなことして、怒ってる……?」

「あ、そんなこと、ないよ……?」

愛ちゃんは、悪くない。
黄原も、悪くない。

あたしがいつまでも黄原に甘えて、曖昧なことばかり言ってるのが、いけないんだから。

「は、恥ずかしいだけ、だから……」

俯いたまま小さく言葉を返すと、隣からも後ろからも、笑い声が聞こえた。

「うみちゃんは、可愛いよ」

「うんうん、可愛い!」

「ちょっと……!
二人共、やめて、お願い……」

ますます赤くなって俯く私に、2人は楽しそうだ。
黄原の腕の力が、強まった気がした。
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