桃色初恋、甘口キス
あの日。

「彼女出来たって本当ですか」
「朝一緒だった、あの子ですか」

と、放課後、緑木先輩を囲むファン達がいた。

「そうだよ、可愛いでしょ?
俺の彼女の愛ちゃん」

緑木先輩は、愛ちゃんをそのファン達に堂々と紹介した。

ああ、そんなことして愛ちゃんが狙われはしないかな、なんて心配したけど、

「可愛い、ですね……」
「先輩の選んだ相手です。間違いないですよ!」

と、何やら良い方向に進んだ。

あんな暗黙のルール作ってたし、もっと嫉妬深いのかと思っていたけど。
なんだ、いい子達だったんだ。

あたしは、愛ちゃんをいじめはしないかと疑っていた自分が恥ずかしくなった。
< 39 / 115 >

この作品をシェア

pagetop