優しいカレの切ない隠し事


わたしの言った言葉に、栞里さんは黙ってしまった。

それはきっと、その過去が栞里さんにとって、言葉に出来ないくらい辛いものだからだと思う。

でもそれは圭介も同じで、もしかするとそれ以上に辛く思ってるかもしれない。

それを考えると、過去を話させた自分に後悔した。

「圭介に、栞里さんとの過去を話させたこと後悔してます。きっと、思い出したくもなかったんですよね。だから、ずっとわたしにも隠してたわけで…」

「それは違うよ、陽菜ちゃん。思い出したくないのは、そうかもしれないけど、圭介は陽菜ちゃんに余計な心配をかけさせたくなくて、隠してたんだよ」

「え?どういう意味ですか?」

ていうか、何で栞里さんがそんなことを知ってるんだろう。

「だってね、圭介と陽菜ちゃんが付き合うようになった時、圭介から口止めされたの。わたしたちのことを話さないで欲しいって」
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