優しいカレの切ない隠し事
「お帰り、陽菜ちゃん。取材、どうだった?」
オフィスへ戻ると、栞里さんが笑顔で声をかけてきた。
「いい写真が撮れましたよ。天気も良かったですし」
「そう。それなら良かった」
やっぱり、初姫神社の話を深掘り出来そうにない。
何でだろう、こんなに気になるのは…。
「内田、ちょっといいかな?写真を見てもらいたくて」
圭介の声かけに、栞里さんは慌てて立ち上がる。
「あ、はい。分かりました」
写真て、今日の初姫神社のか…。
何でわたしじゃなくて、先に栞里さんに見てもらうんだろ。
なんて、くだらないヤキモチを妬きながら、メールのチェックをする。
今夜はまだ遅くなりそうだから、先にチェックをしておかなければ。
未読のタイトルから、重要度の高い順に開封する。
それが日課だけど、今日は真っ先に目についたタイトルがある。
それは、『本社研修のお知らせ』だ。