優しいカレの切ない隠し事


圭介は、涼太さんの話をそれ以上しなかった。

挑発的だった涼太さんに比べて、圭介は話をしたくないみたいだ。

ライバルといっても、二人には何か根深いものがありそう。

そういうのを話してくれたらいいのに…。

「そういえば、栞里さんたちは?」

仕事が終わってから、全く姿を見ない。

「ああ、みんな休憩室で仮眠取ってるよ。オレは帰って寝ることにする。陽菜、お前も一緒に帰らないか?」

「えっ?でも、仕事は?」

「休み取ろう。ずっと働き詰めだったし。陽菜と一緒なら、よく眠れそうな気がする」

「で、でも…」

戸惑うわたしの手を取って、圭介は足早にオフィスを出て行った。

圭介に愛されてるって感じることは出来るのに、何でも話して欲しい、何でも知りたいって思うのは、わたしのワガママなのかな…。

好きだから知りたい、そう思うだけなんだけど…。
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