優しいカレの切ない隠し事


「まさか。聖也のことは、わたしの中ではもう過去のことだもん。そんなわけないじゃない」

むしろ、聖也とは築けなかった未来を、圭介と築きたいと思ってるのに。

「そうか?少なくとも、向こうはそう思ってないみたいだけどな」

「そんな…」

どうして信じてくれないの?

栞里さんには、気持ちを分かってるって言ってたじゃない。

わたしの気持ちは分かってくれないの?

「それに、今日行く花井旅館が、聖也さんの旅館って分かってたんだろ?何で黙ってたんだ?やっぱり、やましい気持ちがあるからだろ?」

追い打ちをかける様な言葉に、わたしの中で何かが切れた。

「信じてくれないならいい。わたしだって、圭介のこと信じてないから」
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