お姫様の召使の言いなり
「教えて欲しい?契約解除の方法」



ぼくが頷くのを待ってる。



罠にかかるのを待ってる。



「なにをすればいいの?」



「話が早い」



「分かるよ、それくらい」



言い返すと不敵に微笑んだ。



小気味良いくらい真っ黒な微笑み。



そしてそれが真剣な表情に変わる。



「助けてほしい。姫さんを」



そんな抽象的な言い方では具体的になにをすればいいか分からない。



「助けるって?」



どこか遠くを見つめて、蕾は答えた。



「姫さんの生きる意味を、見つけてあげて欲しいんだ」



太陽がもう沈みだしていた。



色とりどりのバラが、オレンジにそまる魔法にかけられる。



ゆっくりと、蕾の目線がぼくに向けられた。



蕾のうしろにはオレンジの光がさす。



ずるすぎるくらいの美少女。



信じられないくらい口が悪いけど。



だけど、それでも蕾だ。


酷い扱いを受けても、不思議と嫌いになれない。


ぼくはもう、罠にかかっていた。



遅い。



もう遅い。



もし気付いていたとしても、同じ道をたどったに違いない。



それはもうルール上でいう反則。



インチキのイカサマに他ならない。



抗えるはずもなかったんだ。



「分かったよ。ぼくがやる。彼女の生きている意味を、ぼくが見つける」


満足そうに微笑む蕾が、天使にも悪魔にも見えた。



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