矢野さん
 規則正しく並んで立つオレンジ色した街灯が、次々と通りすぎて行くのを疲れた顔をして見る私が窓に映る――。


 ひどい顔……。


 そう思うと、窓から目をそらした。


 酷いのは顔だけじゃない……。あんなに優しい笑顔をする人を振る私は最低だ……。


 好きな理由が悪口ばかりで一瞬ムッとした。だけど……それだけ私の事を見ていてくれた証拠。


 そんな私を知って可愛いと言ってくれた。


「……」


 理由なく嫌いって言われて腹が立ったと思う……。でも、そんな私を庇って助けてくれた。


 絡まれた時も、守るように背中に隠された。


 祐介の時も、私なんかの為に殴りに行ってくれて……。

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