矢野さん
 こんなにも橘さんに助けられたのに……。


 私は違う人を選ぶ――。


 間違いじゃない……間違ってないよね……?


 だって橘さんは……祐介を思い出させる存在。


 橘さんと祐介が重なってきっと私は心から笑えない……。信じられない……。


 だからいいの……これで……。間違ってない。


 ユラユラ揺れる車内に体を委ねると、ゆっくり目蓋を閉じた――。


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