緑の風と小さな光 第1部
入れ替わりにタリヤが部屋に入って来た。

「陛下、今のは…」

「聞いていたのだろう?」

「はい…」

「私とお前だけの秘密だ。口封じはしな  い。誰にも言うな。」

「はい!」

秘密 …国王陛下と自分だけの… タリヤは
嬉しかった。

そんなタリヤをわかっているから、あえて口封じの魔法は使わない。

「兄様に『甘い』と言われそうだ…」

…誕生会が終わったら、久しぶりに兄様の
墓に行こう…

裁判への立ち会い、議会での議決の承認、役人達からの報告会、恒例の行事への参加、などなど果てしない国務は待っているが…

「もっと兄様と話したかったな…」

ヤールは窓の外をしばらく見ていた。
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