もう一度、逢えたら…
私はそのとき、彼が美容院の息子だった事を思い出したけど、
さっきのだけでも、ドキドキだったのに、
これ以上彼に髪の毛を触られ続けるのが恥ずかしかったので、
私は首をブンブン振って、ゴムを外した。


そんなやり取りを周りから見ていた同じ学年の男子生徒が囃し立てた。

「お前ら、なにいちゃついてんだよ〜?」

私は思わず顔が真っ赤になってしまった。


いつの間にか私たちの周りに人垣が出来ていた。

「ヒュ〜♪」


すると、浦野君が周りに対し

「やめろよっ!」

と叫んで、私にこういった。

「ごめんね。」


私は彼の顔をまともに見ることも出来ずに、
同じクラスの女子のところに逃げるように向かった。


人垣で中の様子を見ることの出来なかった水穂が心配して聞いてきた。

「何かあったの?」


私は恥ずかしさのあまり

「なんでもない。」

といってごまかした。

髪の毛は、そこまできてやっと、縛り直すことができた。
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