もう一度、逢えたら…
その後、そのノートはずっと俺が持っていた。


何回か彼女が

「ノート持ってきた?

あったら、私、
棚のところに返しとくけど。」

と言ってきた。


俺は毎回

「あぁ、忘れた。

自分で返すからいいよ。」

と答えた。


彼女は2,3回聞いてきたが、
その後聞いてこなくなった。


俺は彼女に聞かれるのを
待っていたらしい。


彼女に話しかけられたくて、
俺はそのノートを
卒業するまでずっと
持ち続けていた。
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