ショコラノアール~運命の恋~
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空を見上げていた。

カァーカァ-


は?

カラスかよ、

まるで俺を象徴しているようだ。


バレンタインデーなんてものがこの世に存在するおかげで、

世の中の風潮が男の価値を錯覚するんだ。

普段から、明るくて人好きのするやつは、

女子たちから山のように義理チョコを貰う。

決して本命チョコではないけれど、

友達の多さをその数が語る。


イケメンと称されるやつや、

将来有望な秀才は、

数もさることながら、

かなりの本命の気持ちの入った、

手造りチョコを手にしている。


その日一つも手にできない男は、

世の中からその存在を否定されているのではないかと錯覚する。


「ちくしょう」


その日俺は初めてできた彼女から、

本命チョコをもらえると、

母が毎年くれる義理チョコを振りきって、

唯一貰えるであろう本命チョコのため気持ちを盛り上げ、スタンバイしていた。

今日もらうのは、なんて言ったって初の本命チョコ。

一人前の男として認められた勲章みたいなものだろう。

なのに……


彼女から与えられたのは、

本命チョコどころか義理チョコでもない、


別れの言葉だった。


「ごめん。やっぱりじぶんに嘘はつけないの。

宮君には男としての魅力感じないんだもの」


「え?」


「前から気になる先輩に本命チョコ渡したら、

 OK貰っちゃった。

 私たち別れよう」


……絶句の末の撃沈。







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