ショコラノアール~運命の恋~
暫くして、ハタと気がついた、


「やべ、ケーキ」

どこに置いてきたんだっけ?


ってか、まだその場所にあるかな?

『かならず感想聞かせてください』

のぞみちゃん似のケーキ屋の「しのちゃん?」が言ってたのに。

走って戻ると、

さっき座りこんでたベンチに、

ぽつりと残されていたケーキの箱に、

ホッとして走り寄った。


バサッバサッ


一瞬目の前に飛び込んできたと思ったら、


ギャアッと一鳴く。


黒い塊が更に一つ二つ、


「ああっ」


目の前で繰り広げられる惨劇。


さっきまでそこに存在していた箱はみるみる形を変えていく。



そのままどうなてしまうか想像がつき、

黒い群れに飛び込んだ。



「やめろっ!」



ギャッギャッー



両手を振りまわし黒い群れを追い払うが、

そこにはもうつつかれて形を変えてしまったケーキの残骸が、

その変わり果てた姿に、

呆然と立ち尽くした。


「な、なんてこと……」





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