YUMERI〜女のコにはユメとキボウがあるのだ!〜
記憶をたどる
世の中黄金週間。
ゴールデンウイークというのは和製英語というか、日本人が勝手に決めたものらしくて、外国にこんな習慣はない。
希望梨は図書館を後にして、待ち合わせ場所に急いでいた。
くつろいでいたら、時間ぎりぎりになってしまった。

「よう、久しぶり」
ファストフード店で待っていたのは、伊坂透ではない。もちろん稔でもない。
中学を卒業して以来会って居なかった、ブーちゃんである。
もちろん本名ではなく、あだ名。
そのあだ名通り、ぽっちゃりしている。
小中と仲のよかった男友達である。
会うのは久しぶりだが、ぽっちゃりからがっしりに変化している気がする。
「遅くなってごめんね、図書館で本読んでぼんやりしちゃった」
希望梨がそう言いながらブーちゃんの向かいに座ると、彼は大笑いした。
「作家の娘で、家業が本屋となると必然的に本好きになるよな」
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