YUMERI〜女のコにはユメとキボウがあるのだ!〜
緑町のアンに一票
「題名は聞いた事あっけどよ」
玄さんは困惑していた。
「今年出版されて100年の記念すべき年なんですよ!うちの店でも関連本のコーナー作ってますしね」
田吾郎は玄さんの家の居間にいた。
そしていつになく饒舌(じょうぜつ)だった。
「それは分かったけど…うちの商店街となんの関係があるわけ」
玄さんはランニングシャツに短パンと、真夏のような格好をしている。
「アンが住んでいる家がグリーンゲイブルズっていうんですよ」
田吾郎がどうだとばかりの表情をしても玄さんには反応がない。
「…つまりですね、緑の切り妻屋根の家に住んでるんですよ。日本で言えば屋号みたいなもんかな…いや、また違うかな…」
希望梨からの受け売りできちんと本を読んでいない田吾郎は自信を無くし始めた。
「あぁ、緑町商店街の緑とアンさんの緑の家をかけてるわけな」
…アンさん。
間違いではないが、玄さんがいうと「ちょっとあんさん!」とでも呼び掛けているように聞こえた。
「…で、どういう企画にするんだ?」
玄さんがそう言うと、田吾郎は待ってましたとばかりに話し始めた。
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