イケメン様の隠し事
「涼太、そこにでかい皿があるだろ。それ取って…」

照れを隠し、ハンバーグを焼いていることに集中しながら言う。
クスクスと後ろから聞こえる涼太の笑い声。

俺、涼太の声と笑い方好きだなー…

なんて。


「淳ちゃんは結構馬鹿なのかもね」

「は?」

「今日淳ちゃん声に出すの何回目?結構僕恥ずかしいんだけど…」

「俺、また声に出してた…?」

「うん」

顔がまた熱くなっていく。
涼太にだけは聞かれたくなかったのに!

自分のバカ!とか自分の心の中で言っていると、耳元に涼太の安定した優しい声が囁かれる。


「そんなに好きならいつでも耳元に囁いてあげるよ?」

「ふあ、くすぐった……」

「え、淳ちゃんて耳元弱いの??」


し、しまった!!
今まで耳元で何言われても頑張ってたのにー!!


「ううう、うるさい!息がかかるとくすぐったくてしょうがないんだよ!」

「へー…」


す、凄く怪しげな笑を浮かべてる…
やだ、だめ!
何かね、本能がヤバイって言ってる!!


「俺はハンバーグ焼くの!お前は黙ってテーブルに座ってろ!」


「淳ちゃん」

そう言い、俺へ顔を近づけ耳元で

「少しうるさいから静かにね?クスクスッ」

と、嫌がらせのように言ってくる。

「くすぐった!もーやだ!あっちいけ!」

「はいはい、ハンバーグ見てないと焦げちゃうよー?」


…………無視。
もーいい。
しらん。

俺はハンバーグを焼き終えると淳ちゃん特性デミグラスソースをかけ、テーブルへと持って行く。

その後にご飯とキャベツの盛り合わせ。


「少ないけど我慢しろ。スープ作るにも時間かかるしな。お前のせいで。」

「今日は淳ちゃんの素敵な一面が見れたなぁ。ふふっ」


きーもーいー!!
そして不覚にもそれにキュンとしてしまった自分が一番キモい。


「いただきまーす!」

「い、いただきます……」


俺は食べずに涼太の反応を伺う。
いや、美味しいよ?
俺が作っなんだしね?
たださ、感想とか気になるじゃん!


「何見てるの?」

「いや、美味しいかなーって思って…」

「うん、美味しいよ?僕よりも全然。これなら僕の両親に自慢げにお嫁さん紹介できるよ!」


は………?
また、こいつは。
付き合って何ヶ月かなー?
2、3ヶ月がですか?
それなのにさ、なーにがお嫁さんだよ……


「アホかお前。お前アホか。」

「え、何で言い方変えて同じ事2回言うの?」

「うるさい早く食え変態。」

「食べてる淳ちゃんも絵になるねー。僕よりモテるんだもんなぁ…困っちゃうよ。」

「まぁ、西崎さんにも文化祭誘われたしな」

「あ、そうそう。何で断ったの?文化祭一緒にまわるの。」


不思議そうに言ってくる涼太。
その顔はホントに不思議な様子でさ…


「お前さぁ…お前は俺の何?」

「え、か、彼氏?」

「ですよね?お前は俺と文化祭まわれなくていいわけ?俺はお前がいるから断ったの。わかる?」


何故か固まる涼太。
何で固まってんの?
もしかしてこういうのうざいのかな!?
やべ!

内心ドキドキしながらハンバーグを食べていると…


「淳ちゃん大好き。」

「知ってるよ」

「好き好き好き好き。吐くぐらい好き。もー監禁したい。してもいいかな?」

「そしたら俺がお前のこと監禁仕返してやるから安心しろハゲ。」


こういうのを幸せと感じる。
涼太と出会って初めての感覚が増えていく。
それにも感謝したい。


夕飯を食べ終え少し話してから涼太が帰ることになった。

「涼太、外まで送ってく」

「え、いいよ別に…」

「俺が行きたいの。」

「フッ…分かった。」


これ。
この時の涼太の顔。
めっちゃ優しい笑顔なの。
見せてあげられないのが残念なぐらい。
この笑顔もちょー好き。

よし、今度は口に出してない!!


「じゃぁ、今日はありがとね。ハンバーグ美味しかった」

「おう。また来たかったらいつでも来いよ。」

「うん。あ、今度は家に来てもいいんだよ?」

「気が向いたらな」


そう笑い合って帰る。
こういうのもいいかもな…。








次の日─
俺らは教室の前で4人…固まっていた。

「あれ?ねぇ、昨日喧嘩あったわよね…?」

「うん、確か結構凄かった気が……」

「俺止めたし…」

「女子ってすごいね…」


この会話の原因…
それは、昨日女子グループと西崎さんのトイレで起こった事件確かにあったはず…なんだが…

何故か女子と西崎さんが普通にぺちゃくちゃと会話をしている……


後で西崎さんに話を聞いてみると、昨日帰っる途中女子グループに囲まれ、また何か言われるのかとビクビクしていると、それとは逆で謝られたとか。

『つい西崎さんが自分たちより可愛いくて、しかも淳と絡むの多かったから嫉妬しちゃったの。ごめんなさい』と、深々と頭を下げられ、もちろんそれを許し、仲良くなったらしい。


「淳ちゃん…よかったね」

「あれだけ悩んだのにね」

「ま、淳はいつも苦がないから神様が少し悩ませたんだろー」

皆笑って俺に言ってくる。
でも……素直に良かったと思う。
女子達はいい子だ。
うん。


ってことで、

「俺もう女子皆すき!!」

『きゃあ!淳可愛い!!』

『そんな淳も好きい!!』


「じ、淳ちゃんて…ホントに僕よりモテるのね………彼氏として泣ける」

「あはは!まぁ最初はあたしも淳に惚れたわよ!かっこ良すぎるもの!」

「え!?優、最初から俺じゃなかったの!?」

「当たり前。」


一見落着でした。


で、女子が仲直りしたところで。
本日最後の授業のHR。
文化祭のお話ターイム!!
俺ってこんなキャラだったっけ………


「じゃぁ、何をやるか提案をお願いします。」

かっこ良く仕切る俺。
これでこそ俺だ。


『カフェはー?』

『ただのカフェじゃつまらないー!』

『じゃー、仮装カフェ!!』

『俺もそれ賛成!』

『あたしも!』


え、まとまんのはえーよw

「え、じ、じゃぁ、仮装カフェで…いいのかな?」


皆の賛成を確認する。
それを西崎さんが黒板に書いていく。

さて、どんな仮装をしようか…


「淳はもちろん、メイドよねぇ?」

優が悪戯な顔で言ってくる。

「ははは。それは気持ち悪いからやめておくよ。」

やりたくありません。
ぜっっっっったいに、いや。

『あたしも見たーい!!淳の女装!』

「そーよね?ほら、腹くくりなさいよ」

わー、優がちょーこわーい。
必殺困った可愛い顔。

「じゃぁ、考えさせてもらうね?」


皆男子も女子も優と西崎さん以外はキュン死。
優は呆れた顔で見ている。


そこで授業終わりのチャイム。
ふぅ、なんとか逃れたぜっ


そして帰りの話が終わり、俺と西崎さんは実行委員の集まりへ行く。
で、俺らが何をやるか言って、どこのクラスとも被ってないところは解散だから、俺らは余裕で帰れる。


「じゃー、教室戻ろっか」

俺のその一言に頷き横をテクテクと歩き出す西崎さん。
うわー、ちっちぇーし可愛いなー。

優とはまた別な感じだ。


「あの…鬼森君…」

「何?」

「私ね………入ったの…」

「ん??何に?」

主語が………(笑


「鬼森君のファンクラブに!!」


え?
ん?
なにそれ(笑


「お、俺のファンクラブ!?」

「そうなの!女子のみんなに誘われてね、入ってみたらすごく楽しくて!!」

キャピキャピしながら話す西崎さん。
しかしまてよ?
俺知らないぞ?
そんなクラブ(笑


まったくびっくりだ………


俺は『そうなんだ…』とだけいって教室へ入っていった。


「あ、淳ちゃんお帰りー」

「た、ただいま…」

「どうしたの?」

「実はさ、俺のファンクラブがあるらしい」

「淳ちゃんさ、もースター目指してみたら?」

「っていうか、それ、確か貴也と谷君のもあるはずよ?で、今のところ1位が淳てわけ。ファンが一番多いらしいわよ?」


お?
それは嬉しいな。

よし、ドヤ顔。

「淳ちゃんは僕のなのに…」

「そこのバカップルの片割れ、うるさいぞ」

「貴也にだけは言われたくない。」
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